ステートメント

 1955年6月24日、兵庫県神戸市生まれ。1980年3月東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。1982年3月同大学大学院美術研究科壁画専攻修士課程修了。同年4月より1985年3月まで同大学絵画科油画専攻非常勤助手として教育・研究業務の補助に携わる。1985年より1989年までドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてデュッセルドルフ美術アカデミーに学ぶ。帰国後の1989年4月から東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻常勤助手、1992年6月より専任講師、1999年4月に同大学先端芸術表現科発足にともない助教授として移籍、2006年4月同科教授。2009年11月4日逝去。
 美術家としての創作活動では、1980年より国内外で個展、グループ展等多数開催。初期は線の筆跡を連鎖させた「自現」シリーズを制作。ドイツ留学時代の作品「ZEITZEICHNEN」(時の刻印)は代表作。1988年ヴァジル・ゼニュウ基金受賞によりドイツ・ゲーヴェルスベルク市のモニュメント制作。帰国後は、火(蝋燭)や水(水鏡)等を用いた「光ではかられた時」と題したインスタレーションによる作品を発表し、ひとりの作家としての完成された世界に到達した。
 教育活動では、1991年東京藝術大学美術学部の取手校地発足にともなう新校舎の設置計画に参加し、移転事業および教育体制の整備に携わる。発足後は、取手校地の地域連携を視野に入れた「創作展」(2003年よりアートパス取手)を企画・運営。一方、取手校地における先端芸術表現科設置準備に奔走。先端芸術表現科移籍後は、教務委員として授業カリキュラムを初め教務全般に種々改革案を打ち出し、授業体制・教育環境の充実・発展に貢献する。2009年には、取手校地運営委員会委員長として、取手校地における17年間の活動を総括する「取手校地教育研究活動成果報告書」をまとめる。また、ドイツ留学・海外研修の豊富な経験を活かし、デュッセルドルフ美術アカデミーとの交流展等を企画・運営。2003年からはバウハウス大学ワイマール造形学部との交流展(Green Space2光と影、D/Jブランド~ドイツに学んだアーテイストの発火点~)等、様々な国際交流企画を立案・実施。さらに国際交流部会委員として各国芸術大学との交流協定の締結にも携わる等、東京藝術大学の国際交流事業の発展に大きな役割を果たす。
 社会活動では、1999年より10年間に渡り、取手アートプロジェクト(TAP)の企画・運営の中心として携わり、茨城県での文化事業に貢献。その活動が評価されTAPに対し、「国土交通大臣賞」や「総務大臣表彰」、「サントリー地域文化賞」等を多数受賞。2007年には取手井野団地内に若いアーティストの為の共同アトリエ「井野アーティストヴィレッジ」を設立し、その代表として運営に携わる。TAP関連の執筆・講演等多数。

(渡辺勝明)

略 歴

1955
兵庫県神戸市に生まれる

1980
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
卒業制作「自現」にて「大橋賞」受賞 

1982
東京藝術大学大学院美術研究科壁画研究室修士課程修了

1982 - 1985
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻非常勤助手

1985 - 1989
ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてデュッセルドルフ美術アカデミーに留学
C.Megert教授「造形美術と建築の結合」クラスに在籍

1988
「Wasyl Seniw Stiftung」受賞

1989
Meisterschuler取得、帰国

1989 - 1992
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻常勤助手

1992 - 1999
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻専任講師

1994 - 1995
日本航空協会「空の日芸術賞」受賞
アムステルダム国立美術アカデミーにゲストアーテイストとして滞在・制作

1999 - 2006
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助教授

2006 - 2009
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授

2009
逝去

個 展

1980
「自現」(Gアートギャラリー/東京)

1981
「自現」(楡の木画廊/東京)

1982
「自現」(田村画廊/東京)

1983
「自現」(ギャラリー葉/東京)

1984
「自現」(ときわ画廊/東京)

1985
「自現」(ギャラリー真和アネックス/東京)

1989
「Zeitschichten」(Galerie von Gunten/スイス)

1992
「光ではかられた時」(YBPヨコハマガレリア/神奈川)
「光ではかられた時」(’95, ’96, '97/ギャラリー美遊/東京)

1994
「光ではかられた時」(ギャラリートモス/東京)
「光ではかられた時」(Cult Galerie/オーストリア)

1997
「光ではかられた時 - フィボナッチの薔薇 -」(Galerie SOL/東京)

1998
「渡辺好明展」(’00/巷房/東京)

1999
「光ではかられた時 - 渡辺好明展 -」(斎藤記念川口現代美術館/埼玉)
「光ではかられた時 - 水鏡 -」(アートフォーラム谷中/東京)
「渡辺好明展」(中京大学アートギャラリーCスクエア/名古屋)

2001
「光ではかられた時」(’04, ’07/SPICA Museum/東京)

2009
「光ではかられた時 - 渡辺好明展 -」(A-Trans Pavilion/ドイツ)

2012
「渡辺好明遺作展|光ではかられた時」(東京藝術大学大学美術館 陳列館/東京)

2019
開廊20周年記念企画・故鷹見明彦企画作家シリーズ
「渡辺好明遺作展」(表参道画廊+MUSEE F/東京)

グループ展

1980
「Each one of 5」(神奈川県民ホール/横浜)

1981
「Each one of 3」(東京藝術大学大学会館展示室/東京)

1984
「画廊の選ぶ若い世代の作家展」(ギャラリーセンターポイント/東京)
「明日へのモザイク展」(ギャラリー新宿高野/東京)

1985
「Wechselwirkung」(ベルリン美術大学/ドイツ)

1986
「Rundgang」(’87 ’88 '89 / デュッセルドルフ美術アカデミー/ドイツ)
「Junge Kuenstler」(ビュットゲン市立ギャラリー/ドイツ)

1987
「Erwachsende Architektur」(デュッセルドルフ市絵画館/ドイツ)
「Werkstatt Kunst 10 Junge Bildhauer」(ドイツ庭園博覧会/ドイツ)
「Gruppe Ausstellung」(Aarequai Galerie/スイス)

1988
「V festival in Villa Faraldi」(インぺリア市/イタリア)

1991
「白州・夏・フェステイバル」(白州町/山梨)

1992
「山川輝夫追悼展」(YBPヨコハマガレリア/神奈川)

1993
「de l’amour」(Galerie SATELLITE/フランス)

1994
「芸術資料館取手館竣工記念美術学部教官作品展」(東京藝術大学取手美術館/茨城)

1995
「砂翁バザール」(ギャラリー砂翁/東京)
「- A Piece of My Art2 -」(ギャラリー美遊/東京)
「桐生再演2」(桐生市/群馬)

1996
「IMPLICATE ORDER - つつみひらく宇宙律 -」(ギャラリー美遊/東京)
「美術の内がわ外がわ」(板橋区立美術館/東京)
「- A Piece of My Art3 -」(ギャラリー美遊/東京)
「アートフェステイバル in 鶴来」(鶴来町/石川)

1997
「サーヴェイワークス - 測るもの 測られるもの -」(ガレリアラセン/東京)
「- January Meeting -」(ギャラリー美遊/東京)
「光をつかむ - 素材としての<光>の現れ -」(O美術館/東京)
「- A Piece of My Art4 -」(ギャラリー美遊/東京)

1998
「TRACE展」(Galerie SOL/東京)
「デュッセルドルフ・ソウル・東京」(Kunstraum/ドイツ)
「芝山野外アート展」(芝山町殿塚・姫塚/千葉)

1999
「Japandorf」(Kunst Museum/スイス)

2002
「ジ・エッセンシャル」(千葉市美術館/千葉)
「Green Space」(東京藝術大学取手校地/茨城)

2003
「Green Space2」(バウハウス大学ワイマール造形学部/ドイツ)
「SYNAPHI - 連系 -」(表参道画廊+MUSEE F/東京)

2005
「D/J Brand~ドイツに学んだアーテイストの発火点~」(東京藝術大学大学美術館/東京)
「ハンナム/出会い」(芸術の殿堂ハンガラム美術館/韓国、東京藝術大学陳列館/東京)

2006
「ワンダリング・ウインド~日本現代美術の3人~」(Gallery Apel/トルコ、遊工房/東京)

2009
「表参道画廊+MUSEE F 回廊10周年記念展」(表参道画廊+MUSSE F/東京)

収 蔵

1986
「ZEITZEICHNEN」(ビュットゲン市役所/ドイツ)

1988
「ZEITSCHICHTEN」(ゲーヴェルスベルク市/ドイツ)

1989
「ZEITSCHICHTEN」(デュッセルドルフ美術アカデミー/ドイツ)

1994
「Zeit/LICHTE」(オランダ国立アカデミー/オランダ)

2002
「光ではかられた時 - 球 -」(千葉市美術館/千葉)

出 版

1991
「ZEITZEICHNEN GLASARBEITEN 1985 - 1989」
「ZEITSCHICHTEN ERDPLASTIK 1987」
「ZEITSCHICHTEN STENPLASTIK 1989」
「zeit/LICHTE 1991」

1993
「zeit/LICHTE 1992」

1995
「zeit/LICHTE 1994」

1999
「zeit/LICHT - WASSERSPIEGEL - 1995 - 1998」
「光ではかられた時 - 渡辺好明 -」発行:斎藤記念川口現代美術館
「光ではかられた時 - 水鏡 -」発行:(有)ケープランニング 

2003
「先端芸術宣言 !」東京藝術大学先端芸術表現科[編](共著)/発行:岩波書店

プロジェクト、国際交流展、他

1997
Sha Sha Higbyによる舞踏「蜘蛛の糸」の舞台美術
「デュッセルドルフ美術アカデミー+東京藝術大学美術学部 現代美術交流展」

1998
「デュッセルドルフ・ソウル・東京」国際交流展

1999
「取手リ・サイクリングアートプロジェクト‘99」

2000 – 2009
「取手アートプロジェクト」
(総務大臣表彰、国土交通大臣賞、サントリー地域文化賞、茨城県表彰功績団体賞等を受賞)

2002
「グリーンスペース」国際交流展

2003
「グリーンスペース2 - 光と影 -」国際交流展

2005
「表現の水際2005」企画展
「D/J Brand ドイツに学んだアーテイストの発火点」国際交流展
「Rosa ! あらわになる色」国際交流展